(2020.9.25に執筆しました)

クラウド会計ツールはなにかと便利です。

従来の会計システムでは、経理部門は何をするにつけても会社に出社して、ローカルの基幹業務システム、その派生するERP経理システムにログインしないと伝票1つも確認できないが普通でした。

期末決算監査のような期限の決まっている際には、急ぎの場合クライアントに合わせて、会計士も土日往査に向かう、そうでなくても、ちょっとした確認は週明け月曜日の午後になるがざらでした。

ところが、中小企業、ベンチャー企業の間で、クラウド会計ツールの利用が進み、いつでも、どこでも、気が向いたときに(細切れの時間を使って)、経理業務を進めることができるようになりました。

他の基幹システムとのデータ連携、仕訳量、エビデンスの保管、セキュリティー(電子的にも、物理的にも)の問題はまだ残りますが、基本的には便利な世の中になったと思います。

紙資料ベースじゃなくなるだけでも大きい。請求書も全部電子で貰えないものか

事業開始のために必要な経理体制の構築

本記事では、事業を始めるに当たり、クラウドで経理体制を構築する方法を取り扱います。

重要性の高い経理業務の要素

会計・経理業務は、仕訳を切ること、入出金を処理すること、財務諸表を作ることが目的ではありません。

会社経営の重要な管理業務を念頭に置いて、それを踏まえた業務を設計し、その結果として会計・経理のアウトプット(仕訳、月次、決算整理、財務報告書の作成)を正確に実行していくことにあります。

重要な会社経理の管理業務とは以下の5つです。

・販売(売上)管理
・在庫(仕入)管理
・キャッシュフロー(現預金)管理
・債権(与信)管理
・予実営業(PL)分析

上場企業、大企業、中小企業それぞれ必要とする度合い、対応方法は異なります。

今回は中小企業(ベンチャー企業)を念頭に、いかに身軽に、時間をかけず、それでいて必要最低限の業務クオリティーを満たすにはどうすればいいか、目的から逆算して考えていきます。

要するに、会計・経理業務というのは、言っても利益を稼ぐ業務ではないので、事業としてCashを稼ぐ側にメインを置き、そのバックアップである管理業務は隙間の時間でもできるように、業務設計を考えます。

会社というのは事業活動を行うことにより利益を出すことを目的としています。したがって、経費(手間)の節減を考える前に、売上(実入り)を稼ぐことに大きな時間と労力をつぎ込むのが正しいでしょう。

そのためには、とはいっても重要でもある経営管理業務を、いかに効率的にできるかを考えます。

余計な制約(時間、場所、コスト、人、紙、モチベーション)を省いていく。

その最適解というわけではありませんが、1つの有用な手段がクラウド会計ツールを利用することと言えるでしょう。

クラウド会計ツールの種類

よく使われているもので、例えば、以下のようなサービスがあります。

・マネーフォワード
・freee
・勘定奉行クラウド
・弥生会計オンライン

正直なところどれでも同じです。多少の癖、違いはあるにせよどれを選ぶかは趣味の領域です。

実は会計事務所(税理士事務所)がキーマン

各社に話を聞きに行きました。

異口同音に、会計事務所と提携して、その事務所の顧客であるエンドユーザーに導入を薦めて貰うのが自社ユーザー数を増やす最も効果のある施策とのことでした。

ITサービスに関わる者としては、(会計の知識がそこまでない)エンドユーザーにこそ刺さるサービスを創ればいいのではないかと思いながらも、実際のセールスにおける現場はそのような代理人重視のもののようです。

既存システムからの移行

いずれにせよクラウド会計ツールのいずれかを使用することになります。

新設会社であれば制約もなくていいのですが、問題は、従前からの会計システム(ローカル)がある場合に、その移行可否の影響を受けるということにあります。

例えば、弥生会計(パッケージ)を元々使用している会社の場合には、元システムから新システムへのデータ移行の問題がついて回ります。

その際は、従前から使っているERP経理システムに引きずられるとしても、継続することの制約が少ないITツールであればなんであれ、それに越したことはないという考え方をしています。

データ移行をするには、マッピング、データ様式の連続性・継続性の維持、移行コストなど多少複雑になるため、時間及び労力のロスなく使えるものであればそれで良いでしょう。

とはいうものの、私が主に使っているのは、マネーフォワードです。

その次がfreeeで、操作性の違いはあれど、目的とやるべきことは同じです。なるべく、全てのクラウド会計ツールの仕様と“癖”を覚えるようにしています。

経理業務の要素との関連性

前述の「重要性の高い経理業務の要素」との関係性を図示すると、以下のようになります。

要素クラウド会計ツールその他ツールエクセル(EUC)
販売(売上)管理
在庫(仕入)管理×
キャッシュフロー(現預金)管理
債権(与信)管理×
予実営業(PL)分析

あくまでこれは会計・経理のツールであって、営業管理には営業管理のための別途ツールがあり、またそのデータを手元で管理・加工するスプレッドシート(ないしEUC)があるわけでした。

データのAPI連携、データの粒の相性、データの取り出しやすさ(加工しやすさ)など。大きい視点からのアプローチだと、少々無理があったようです。

クラウド会計ツールのメリット

メリットクラウド会計ツール備考
時間いつでも作業が可能
場所どこでも作業が可能
コスト月額廉価な利用料
権限付与した誰でも
基本はデータ上で
モチベーションその人によるか?

ブスクリプションのサービス全般に言えることですが、利用ユーザーを増やすとその分課金額が気づかないうちに増えていくので、注意が必要です。

デメリット

デメリットクラウド会計ツール備考
データ連携多くなると遅い
仕訳量多くなると遅い
エビデンスの保管紙との併用になる
セキュリティー(電子)社外からのアクセス
セキュリティー(物理)社外での資料レビュー
内部統制(レビュー)まだ紙に依存する

データ量が多くなるに比例して、相変わらず動きが遅くなるのはどうかと思いますが、テレワーク共通の課題感ではないでしょうか。

クラウド会計ツールの選定

いずれにせよ、メリット/デメリット、会社の経営方針、及び自分の手間を勘案したうえで、諸々の制約を取り除くことを念頭に置くのであれば、とても有益なツールではないかと思います。

繰り返しになりますが、クラウド会計ツールは、本業に煩わすことのなく、業務体制(経理体制)を構築できるものを選ぶべきでしょう。

私は、毎日、夜寝る前に時間を決めて各社分まとめて並行して行うようにしています。出張先で行うことも多々あり、生活リズムに織り込みます。

請求書、勤怠管理、給与、経費精算のクラウドシステム

定するクラウド会計ツールとAPI連携(自動データ連携)しているものから、UX/UI、金額感、実際の手になじむ使用感で決める感じです。

csv連携、エクセル加工でもと思っていると、あとあと、業務が属人化してしまいます。

あれと思ったときには時すでに遅く、今更別のサービスに変更するのはするで、色々と煩わしいものです。

ボタン1つで、むしろボタンを押すことなく自動でデータを取り寄せることができるものが、最もエンドユーザーにとって使いやすいサービスとなります。

まとめ(クラウド経理体制の構築)

エンドユーザーの意見として、もう少しUX/UIがフレンドリーになるといいな

完全テレワークの管理部門(代表兼任)を目指して

とにかく、隙間時間に、理想はお風呂にゆっくりと浸かりながら、その日の経理と支払処理をPad端末でできるようにするのが理想形です。

創造性とか、アイデアの閃きとか、コミュニケーションが必要な業務(わかる人のレビューは必要かな?)ではないので、できる限り、自身に最もしっくりくる形でその日のルーチンに落とし込んでいきましょう。

テレワークから完全フリーワークへ

業務設計を考える上での障害は、場所、時間、金銭、顧客、ひと、セキュリティー、モチベーションなど、邪魔するものはいくらでも思いつきます。

障害が生まれるのは最初だけではなく、今後もいくらでも増えていくであろうということです。

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